PUBGの合間にVTuberの配信を見つつ、Twitterでクソリプを送りながら聞き慣れない単語をググる……と、とにかくやることの多い現代人。
足りないのは何も時間だけではありません。お金や体力もそうですが、差し当って問題が根深いのは「画面の作業領域不足」でしょう。
さすがに上記ほど混み入ってはなくとも、1つのモニターで同時に3つも4つも作業を並行すれば、1つ1つのウィンドウがどうしても小さく、見づらくなるのは必然です。
そうなるとおもむろに気になり出すのが「デュアルモニターの導入」ですが、人によっては
- モニターを複数台置けるスペースがない
- アームやスタンド等の固定器具が設置できる環境でない
- どの接続ケーブルを使えばいいのかよく分からない
といった、微妙な敷居の高さがネックになることがあります。
実際僕が導入した時も、色々ググったりなんだりして結構手間がかかりました。
しかしつい先日、そんな混迷を極めるデュアルモニター界隈に新たな1つの選択肢が提示されたのです。
今回レビューするLepow社の「Z1」がそれであり、「持ち運べるモニターならどこでも手軽にデュアルディスプレイ出来るのでは???」という、なかなかの力技を実物にしてしまったというのです。
なお、今回は有難いことに試供品を頂いてのレビューとなりますが、お話を頂いた際に
デメリットも今後の商品改善に繋げたいと思います。
と言って頂けたので、恐れながら実直な所感を書いていきたいと思います。
実物と基本スペック
ソワソワ不審に待つこと数日。
やたらカッコいい箱が突然届きました。この余裕のないフィルム包装には幾つになっても胸が弾みます。
内容物
- モバイルモニター本体
- 専用保護ケース
- 画面保護フィルム
- 貼付用シール等のセット
- Type-C – USB Aケーブル(給電用)
- 電源アダプタ
- Type-C – Type-Cケーブル
- Mini HDMI – HDMIケーブル
- ユーザーガイド
そしてモニターをセットアップしたのがこちらです。
「俺がガジェットだ」と言わんばかりの、物欲をくすぐる佇まい。
きめ細やかな液晶には綺麗に僕が映り込んでしまうので、画角に大分苦戦しました。
基本性能(スペック)
説明書より抜粋。
画面サイズ | 15.6インチ |
---|---|
接続端子 | Mini HDMI ×1、Type-C ×1、Type-C(給電のみ)×1 |
パネルタイプ | IPS |
重量 | 770g |
寸法 | 368(横) × 225(縦) × 8.8(厚さ) mm |
解像度 | 1920 × 1080(フルHD) |
アスペクト比 | 16:9 |
リフレッシュレート | 60Hz |
コントラスト比 | 1000:1 |
輝度 | 300cd / m2 |
音声出力 | 3.5mmジャック |
スピーカー | 内蔵スピーカー(2つ) |
フルHDにIPSパネルと、スペックとしては画質重視型と言える内容です。
接続端子、ボタン等
接続端子は本体左側面にMini HDMIとType-Cポートを1つずつ搭載しており、接続元のType-Cポートが全機能(給電、オーディオ、ビデオ信号)を扱える場合は、Type-Cケーブル1本で動作させることが可能です。
一番下の丸い端子はイヤホン用の3.5mmジャック。
右側面には電源ボタン、設定メニュー操作用のロールキー、給電用のType-C端子があります。
設定メニュー
Z1には「OSDメニュー」と呼ばれる、画面の明るさや明暗などを好みに調整できるメニューが搭載されています。
設定できる項目は以下の通り。
- 輝度 → 明るさ、コントラスト、ブラックレベル、鮮明度の調整
- イメージ → ゲームや映画用の表示、ダイナミックコントラスト、アスペクト比
- 色設定 → 赤、緑、青の3色の混合具合の調整
- OSD設定 → 設定メニューの言語、表示時間の設定
- リセット → 全設定のリセット、ミュートのオンオフ、音量調節
- その他 → 入力切替、ブルーライトカット、HDRモードのオンオフ
メニューは上記のロールキーで操作します。
使用感レビュー:良かったところ
画質は十二分
光沢処理でIPS液晶ということもあり、画質は申し分ありません。
発色も鮮やかで、焼き付きや遅延等もありませんでした。
初期設定ではMacBookと比べて若干青みがかっているように感じたので、設定メニューで微調整して使っています。
決して珍しい機能ではないですが、好みの色合いに調整できる機能はやはり重宝するものです。
ちゃんと薄いし軽い
「ポータブルモニター」と銘打っているだけあり、持ち運んでもストレスのない薄さと軽さを実現しています。
特に薄さはなかなかで、実に文庫本の半分程度しかありません。
それでいて、僕が全力を出しても曲がりもしなさそうな堅牢なボディを誇ります。なんかちょっと気分が落ち込んできました。
重さも非常に軽く、コレを片手に待ち合わせとかしてても全く苦にならないレベルです。
15.6インチの幅広な本体さえカバンやリュックに入ってしまえば、持ち歩くのに難儀することはまずないでしょう。
ケーブルやケース等の備品が一通り付属している
箱を開けてビビったのですが、接続に使うケーブルや保護フィルム、果ては保護ケースまで、必要な備品が最初から全て揃っています。まさに「届いて3秒でデュアルモニター」が可能です。
特にケーブルは一般的に嫌がらせレベルで種類があるので、最初から使えることが保証されているモノが付いているというのはメチャクチャ有難いです。接続元の端子さえ問題なければ秒で使えます。
また保護ケースはマグネット着脱式で、2段階のスタンドとしても使えるようになっています。別途のアームやスタンド無しで自立できます。
パソコンだけでなく、ゲームやスマホも接続できる
HDMIや全機能のType-Cを備えていれば繋ぐことの出来るZ1ですが、その対象はパソコンだけに留まらず、ゲームやスマホを接続することも可能なのです。
例えばゲームなら、
- PS3/PS4
- XBOX ONE
- Wii
- Nintendo Switch
などのモニターとして使用することが出来ます。
Type-Cにパソコン、HDMIにゲームを繋いでおき、普段はデュアルモニターとして使いつつ、ゲームをする時は入力を切り替えて大画面で遊ぶ……みたいな環境も簡単に作れてしまいます。
スマホはサムスンのSシリーズ等、一部の機種が対応しています。
↓はLepow社様にご提供頂いた、記事執筆時点での対応モデル一覧です。
なお、表にはありませんがLightning搭載のiPhoneもアダプターを介することで繋げるそうです。
またアダプターは動作の関係上、Apple純正の製品を使用する事が推奨されています。
MacBook Airの接続にも別途アダプターが必要です。
また、この表に載っていない機種は動作確認が取れていないので、使用できない場合があります。
縦表示もできる
地味にコレができないモニターも中にはあるので、「どうせなら快適にクソリプを送りたい」という人も安心して導入できる仕様です。
真面目な話、縦に長いと上下にウィンドウを並べての比較がしやすかったり、長文のニュースサイト等が読みやすいというメリットがあります。
但し付属のケースは縦置きに対応していないため、何かに立てかけるか、市販のスタンドを用意する必要があります。
使用感レビュー:もうひとつ、なところ
ロールキーの「決定(押し込み)」がやりづらい
メニュー操作用のロールキーは押し込む事で「決定」の操作になるのですが、コレの判定が割とシビアで、上や下への移動になってしまう事が多々ありました。
慣れてくれば不便と言うほどでもないですが、欲を言えば最初からボタン式だったらより使いやすかったかなという印象です。
コツとしては真っ直ぐ押し込むのではなく、少し上から押し込むようにすると上手くいきやすいです。
モニター自体にバッテリー機能が無いため、常に電源供給が必要
値段を考えるとそこまで求めるのも酷かもしれませんが、Z1はバッテリーを内蔵していないため、使用する際は常に外部から電源を供給する必要があります。
コワーキングスペースなど、コンセントに不自由しない場所であれば特に問題にはなりませんが、例えば「キャンプ中に皆でゲームをしたい」みたいな場面では何らかの電源対策が必要です。
一番簡単なのはモバイルバッテリーを用意する事でしょう。
幸い、Z1にはType-C – USB Aケーブルが付属しているので、普通のスマホ用モバイルバッテリーから電源供給してあげれば、コンセントのない環境でも数時間の動作が可能です。
給電用端子が右側なので、配線が制限されるかも
給電用Type-Cポートは本体右側面に付いているので、「机の左側にコンセントがある」みたいな環境ではコードの長さが足りない等、配線に制限が出る可能性があります。
もちろん、全機能Type-Cで接続している場合は除きます。
まあこればっかりは環境によるので限界がありますが、仮に左右のType-Cポートがどちらも全機能対応であれば、さらに取り回しがしやすかったかなと思います。
一瞬、「OS設定で画面を180度回転させる」というゴリ押しで左に給電端子を持ってくることも可能かと考えましたが、ロールキーの上下が反対になるのでオススメはできないかもしれません。
こんな人におすすめ
細かいことを考えずにデュアルモニターを導入してみたい人
「ケーブルの種類とかよく分からんし、フィルムやカバーをちゃんと使えるか調べながらポチるとか面倒すぎワロチ」
という人には最適の選択肢です。
何せケーブルもカバーも全部付いてくるので、「自分のパソコンで使えるかどうか」の1点のみに気を配ればいいのです。
それも上の対応機種表を確認すればOKで、デスクトップパソコンの場合はHDMI出力を持っていれば基本的に使えるはずです。
上記の表に載っていない製品を使用したい場合や、その他の質問等に関しては「support.jp@lepow.hk」へ問い合わせることで回答が貰えます。
そこさえ問題なければ後は簡単。ケーブル1本と付属の電源コードを挿したらおしまいです。
全機能のType-Cを持つ端末なら電源コードすら要らない始末。
こういう「デュアルモニタースターターセット」があるのは現代ならではという感じ。自分の失った時間については考えないようにしているところです。
机のスペースが限られているけどデュアルモニターをしたい人
Z1は15.6インチと大型モニターに比べて省スペースなので、スペースに限りがある環境であってもデュアルモニター環境が作れます。
また、片手で扱える重さのZ1はいつでも配置換えが可能なのも特筆すべきポイントでしょう。「パソコンの左と右、どっちに置くのが見やすいか」みたいな試行も楽勝です。
アームやスタンドで固定してしまう通常のデュアルモニターでは可動域が限られますし、お世辞にも気軽とは言えない重量であることがほとんど。
モバイルモニター形式だからこその自由度の高さは、普通のデュアルモニター環境と比較しても明確なメリットなのです。
ビジネス、外泊、入院など出先で大きな画面を使いたい人
そういう人向けに作っているので当たり前ですが、自宅以外で大きな画面を使いたい人にはお勧めできます。
- ビジネスの場面で、資料をクライアントに見せる画面として使う
- キャンプ場や出張先などで、ゲームや仕事に使う
- 入院時に自分専用の大画面モニターとして持ち込む
やはり”持ち運べる”という点が強いので、人が集まるような場所へ持っていくと重宝するでしょう。
あとはスタバのMacBookerにデュアルモニターでマウントを取ったりとかできます。
総評:高い品質とライト層に刺さるポテンシャル
Z1と同様の機能性を持った類似商品が(記事執筆時点では)大体2〜3万円前後なので、この価格帯ではかなり高い品質水準であるように個人的には感じました。
購入日から3年間の無料保証期間もあり、なかなか隙のない布陣です。
デュアルモニターと言うと少しマニア向けのイメージですが、こういう手軽な製品が増えていけば今後は、ライト層にも広がっていくかもしれません。JKがインスタにモニターを上げる日はもうそこまで来ているのです。
「今まで何となく敷居が高く感じてデュアル導入に踏み出せなかった」という人には、おすすめを通り越してもはやチャンスとすら言えるでしょう。
いずれ来るJK総デュアルモニター時代に向け、今のうちに触れておいてみるのはいかがでしょうか。