「輸入関税」。
お恥ずかしながら、結構最近までそんなものが存在している事すら知りませんでした。
仕入れたばかりの知識を披露すると、輸入関税とは
のことを言います。とても三行も使っているとは思えないほどの情報量です。
日本どころか家からも出ない自分には永久に縁がないと気楽に構えていたのですが、つい先日、とある趣味関係のアイテムが「個人輸入すると安い」という話を聞きつけてしまい、めでたく自分事になったのでした。
そこからは鼻息荒くググりまくったわけですが、2~3時間して、ある問題に直面することになります。
そのアイテムがだいぶニッチだったこともあり、そのものズバリの税率が出てこなかったのです。
関税率は大まかに貨物のジャンル(衣類、酒、機械など)に対して設定されているため、「強いて言うなら……精密機械、か…?」みたいなフンワリした分類にならざるを得ません。
しかし適当な素人判断で輸入して、「関税率250%!!」なんてことになっても困ります。ここはできれば、プロによる確実な判断が欲しいところ。
そんなことを考えていると、ふとある制度の存在について聞き及びました。
その名も「事前教示制度」。大丈夫!財務省の制度だよ!
このシステムを使えば、こちらが指定した貨物に対する関税率などの情報を個別に回答してくれるというのです。
渡りに船とばかりに実際に利用してみましたので、今回はその一部始終をお送りしようと思います。個人輸入をお考えの方は一つの参考にしてみてください。
事前教示制度の概要と照会手順
輸入関係者の方が、あらかじめ輸入を予定している貨物の関税率表上の所属区分及び関税率等について税関に照会を行い、その回答を受けることができる制度です。
引用:「関税分類の事前教示制度について(カスタムスアンサー)」(http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1202_jr.htm)
「自分が輸入しようとしているモノ」それ自体についての答えが税関から得られるというわけで、これほど確実な手段もないでしょう。
照会の手段は3つあります。
- 文書
- 電話
- Eメール
僕の場合、文書による照会は気軽ではないのと、「頑張って30日以内に回答するよ(迫真)」と書いてあったので最初に除外しました。
電話でも良かったのですが微妙に説明が難しいアイテムだったので、最終的にメールで照会することにしました。
こんな感じのよそ行きの文面で送っていますが、実はメールでの照会はホームページに掲載されている指定様式で行う必要があることに気付かず、本文ベタ打ちで送ってしまうというやらかしをカマしていたのです。
そして後に来た返事のメールにはものすごい事務的に注釈が入っていました。すいませんでした。
なお、問い合わせのメールには貨物の名前などはもちろん、「どんな箱にどんなものがいくつ入っているか?」みたいな細かい所まで詳細に記載すると良いようです。そう、指定様式を使ってね。
翌日、返信が届く
週末までには返ってくるかなー、なんて考えていた次の日には返信が届きました。焦った。
回答はパスワード付きのPDFファイルで添付されており、パスワードは別で送られてくるメールに記載されていました。
そして実際の回答書がこちら。
完全に犯人宅から押収された書類ですが、ちゃんと関税率や適用区分について記載されているのが分かります。
今回は「Free」とのことなので、運よく関税の適用外だったようです。これで心置きなくebayることができます。
文書照会だと、回答の内容が輸入時に尊重される
回答文にも記載がありましたが、この事前教示制度には一つ注意すべき点があります。
それは、
選択した照会方法によって、回答結果が尊重されるかどうかが変わる
という点。
単純に言うと、電話やメールで照会した内容は実際の輸入時に適用される保証がないのです。あくまで簡易的な確認手段にすぎない、という位置付けであるようです。
ちゃんと適用される保証を得たい場合は、
- 文書で照会する
- メールで照会する際、指定様式に押印又は署名し、画像データにしたものを添付する
このいずれかの方法を取る必要があります。
メールで保証付きの照会をする場合、指定様式を一旦印刷して署名し、スキャンしてメールに添付するという手間をかける形になります。
しかし裏を返せば、その手間さえかければプロの税関による正確な情報と保証が無料で得られるということなので、個人的にはアリかと思いました。
詳細な条件などはこちらを参照してください。
世界平和が一番
「事前教示制度」なんて漢字オンリーの堅い言い方をされるとどうしても身構えてしまいますが、実際の手順はだいぶ単純なものでした。
税関の人も疾風のごとく返事をくれたり、若干無料でいいのかなと思ってしまうほどの制度でした。制度の感想なんて人生で初めてです。
時折、そもそもこの世が国境も関税もない優しい世の中であったなら、と思うこともあります。
でもそれだと税関の人が職にあぶれてしまうので優しい世界ではないような気もして、答えは出ないままです。
少なくとも、こういう目先の小銭の為に世界平和を願うような思想が無くならない限り、真の平和は訪れないのかもしれません。